自己責任とは?自分を責めずに人生を変える考え方
「それは自己責任です」
この言葉を聞くと、
「悪いことが起きたのは、あなたのせいです」
「誰にも頼らず、自分1人で責任を取ってください」
と言われているように
冷たく感じる人もいるかもしれません。
特につらい出来事のあとに
「自己責任」と言われると、
「あなたが悪い」と責められているように
感じるのは、ごく自然なことです。
しかし、本来の自己責任は、
自分を責めたり、すべてを1人で
背負ったりすることではありません。
また、人生で起きたすべての出来事を、
「自分が引き起こした」
と考えることでもありません。
自己責任とは、起きた出来事や
今の状況を自ら引き受け、そして
これから自分が何を選び、
どのように行動するかを、
自分の意思で決めていくということなのです。
自己責任とは
自己責任とは、自分の選択や
行動によって生じた結果について、
自分が引き受けることです。
たとえば、
・自分で選んだ仕事を続けるか、辞めるか
・相手へ本音を伝えるか、我慢するか
・問題を放置するか、向き合うか
・1人で抱えるか、誰かに助けを求めるか
こうした選択について、
自分の意思と責任を持つことです。
ただし、人生で起きるすべての出来事が、
自分の選択だけによって
起こるわけではありません。
・他人から傷つけられたこと
・災害や事故
・病気
・家庭環境
・会社や社会の問題
自分では選べなかった出来事もあります。
そのため、自己責任を、
「起きたことは全部あなたのせい」
と理解するのは正しくありません。
自己責任と自分を責めることは違う
自己責任という言葉には、
「責任」という強い響きがあります。
そのため、
「あの選択をした自分が悪い」
「もっと頑張れなかった自分のせいだ」
「自分が弱かったから傷ついた」
と、自分を責めてしまうことがあります。
しかし、自分を責めることと、
責任を持つことは違います。
自分を責めるとき、
意識は過去に向いています。
「なぜ、あんなことをしたのだろう」
「自分はダメだ」
と、同じ出来事を繰り返し考えます。
一方、責任を持つときは、
「今から何ができるだろう」
「次はどのように選びたいだろう」
と、現在と未来へ意識を向けます。
自己責任とは、過去の自分を
罰することではありません。
これからの自分の人生を、
自分で選び直すということです。
自分に責任があることと、原因が自分にあることは違う
自己責任を考えるうえで大切なのは、
「誰が原因を作ったのか」と、
「これから誰が対応するのか」
を分けることです。
たとえば、
誰かから理不尽な言葉をぶつけられ、
深く傷ついたとします。
傷つける言葉を言った
責任は、相手にあります。
自分が悪かったことにする
必要はありません。
しかし、その後も苦しさが続くとき、
・相手と距離を置く
・信頼できる人に相談する
・必要なら専門家の支援を受ける
・自分の心を回復させる
といった行動を選ぶのは、自分です。
出来事の原因は相手にあっても、
自分を守り、回復していくための
選択は、自分に取り戻すことができます。
これが、自己責任の大切な考え方です。
自己責任を「何でも自分のせい」と考える危険
自己責任を強く意識しすぎると、
必要以上に自分を責めることがあります。
「相手が怒ったのは、自分が悪いから」
「人間関係がうまくいかないのは、全部自分の問題」
「助けてもらうのは甘え」
「苦しいのは、自分の努力が足りないから」
このような考え方は、
自己責任ではなく、
過剰な自己責任です。
過剰な自己責任を抱えると、
他人の問題や感情まで
背負ってしまいます。
相手が不機嫌になるたびに、
自分が何とかしようとする。
相手から傷つけられても、
自分に原因を探す。
助けが必要なのに、
1人で解消しようとする。
その結果、心も体も
疲れ切ってしまいます。
自分に責任がある部分と、
相手に責任がある部分を
分けることが大切です。
他人のせいにすることと、自分を引き受けることは違う
一方で、起きた問題を
「他人のせい」にした場合、それは
自分の人生を自分で変えなくていい
理由になってしまいます。
「あの人が変われば、私は幸せになれる」
「会社が悪いから、何もできない」
「親のせいで、今の自分はこうなった」
確かに、相手や環境に
問題がある場合はあります。
過去の経験が、今の考え方や人間関係へ
大きな影響を与えることもあります。
それを無理に、
「すべて自分の責任です」
と考える必要はありません。
ただし、自分以外の人が
状況が変わるまで待ち続けると、
自分の人生の主導権も実際
相手に渡したままになります。
「相手に問題があった」
と認めたうえで、
「それでは、自分は
これからどうしたいのか」
と考えることが、自分の人生を
引き受ける一歩となるのです。
起きたことを受け入れるとは
自己責任について考えるとき、
「起きたことを受け入れる」
という言葉が使われます。
しかし、「受け入れる」
という言葉にも、誤解があります。
受け入れるとは、
「相手の行為を許すこと」
「つらくなかったことにすること」
「仕方がないと諦めること」
ではありません。
起きた事実を、
事実として認めることです。
「あの人から傷つけられた」
「私はそのとき、とても悲しかった」
「今もその影響が残っている」
「私はこの状態を変えたいと思っている」
このように、
良い悪いの判断をつけずに
今起きていることを
観察することです。
自分の現状が分からなければ、
どこを変えたらいいのかも分かりません。
受け入れることは、
変化を諦めることではなく、
変化を始めるために
現在地を知ることです。
受け入れられない自分も責めない
人はつらい出来事ほど、
すぐには受け入れられません。
「どうして自分がこんな目に遭わなければならないのか」
「絶対に納得できない」
と思うこともあります。
どんな状態だったとしても、
「受け入れなければ前へ進めない」
と自分に気づくことです。
受け入れられないのは、
それだけ傷ついている
からかもしれません。
悲しみや怒り、恐怖が
強く残っていると、
頭では分かっていても、
心がついていきません。
まずは、
「私はまだ受け入れられないほど、苦しいんだ」
と、その状態に向き合うことが大切です。
受け入れることは、無理やり
自分を納得させることではありません。
自分の感情を置き去りにせず、
少しずつ現実との距離を縮めていくことです。
自己責任を持つことで変わること
自己責任を、自分を責めることではなく、
自分の選択を取り戻すこととして捉えると、
人生の見え方が変わります。
「相手が変わらない限り、自分も変われない」
という状態から、
「相手が変わらなくても、自分にできることはある」
と考えられるようになります。
たとえば、
・無理な頼みを断る
・苦しい環境から離れる
・自分の気持ちを伝える
・生活習慣を見直す
・1人で抱えず相談する
・同じ行動を繰り返さない方法を考える
このように、自分が選べる範囲へ
意識を向けられるようになります。
すべてを思い通りに
変えられるわけではありません。
それでも、自分には何も選べない
と思っている状態より、前に
人生を動かしやすくなります。
自己責任を持つための5つの考え方
事実と感情を分けてみる
問題が起きたときは、事実と感情が
混ざっていることが多々あります。
たとえば、
「仕事で注意された」
という事実に対して、
「自分は必要とされていない」
「もう終わりだ」
と感じることがあります。
まずは、
「実際に何が起きたのか」
「私はそれをどう感じたのか」
を分けて考えてみます。
感情を否定する必要はありません。
事実と感情を分けることで、
次に取れる行動が見えやすくなります。
自分に変えられることを探す
すべてを変えようとすると、
苦しくなります。
・相手の性格
・過去の出来事
・他人からの評価
これらは、自分だけでは変えられません。
一方で、
・自分がどう伝えるか
・どこまで関わるか
・どのような環境を選ぶか
・誰に相談するか
・これからどう行動するか
は、自分が選べる場合があります。
変えられないことではなく、
今の自分が選べることに意識を向けます。
自分の選択を責めずに振り返る
過去の選択を振り返るときは、
「どうして、こんな選択をしたのだろう」
と責めるのではなく、
「当時の自分は、何を恐れていたのだろう」
「なぜ、その選択しかないと思ったのだろう」
と考えてみてください。
・嫌われるのが怖かった
・生活を失うのが不安だった
・そのときは知識や経験が足りなかった
・自分なりに関係を守ろうとしていた
過去の自分の背景を理解すると、
責めるだけでは見えなかった
原因が分かります。
必要な助けを求める
自己責任は、自分1人で何でも
解決することではありません。
・病気なら医療機関へ行く
・法律上の問題なら専門家に相談する
・心の苦しさなら、信頼できる人や心理の専門家を頼る
必要な助けを選ぶことも、
自分の人生に責任を持つ行動です。
誰かに頼ることは、
責任を放棄することではありません。
自分を守るために、
使える力を選ぶことです。
今からの選択に意識を向ける
過去は変えられません。
しかし、過去の出来事から
何を学び、これから
どう選ぶかは変えられます。
「また同じことが起きたら、次はどうするか」
「自分を守るために、何を変えたいか」
「本当はどのように生きたいか」
と考えてみます。
自己責任とは、
過去を責め続けることではなく、
今からの選択を
自分自身へ取り戻すことです。
受け入れられない理由
ストレスクリアルームでは、
起きた出来事を認めたり、
自分の選択を振り返ったり
できない背景には、心に抱えている
「私は悪くない」といったプライドの
感情が関係していることが多いと考えています。
「認めたら、自分が悪いことになる」
「受け入れたら、相手を許すことになる」
と感じることがあります。
しかし、自分の現状を認めることと、
相手の行為を正当化することは違います。
まずは、自分の中にある
感情に向き合うことです。
感情が少しずつやわらいでいくと、
出来事を責めるか、自分を責めるか
という二択から離れ、
「これから何を選ぶか」
を考えやすくなります。
自己責任とは、自分の人生を取り戻すこと
自己責任とは、
「悪いことが起きたのは自分のせい」
と考えることではありません。
「誰にも助けを求めず、一人で背負うこと」
でもありません。
自分では選べなかった出来事や、
相手に責任がある問題もあります。
その事実を無視する必要はありません。
それでも、
「これから自分をどう守るか」
「今の状況から何を選ぶか」
「どのような人生を生きたいか」
を、自分の手に戻すことはできます。
自分を責めるためではなく、
自分の人生を他人に預けたまま
にしないために、責任を持つ。
それが、本当の意味での自己責任です。
【この記事を書いた人】
竹田 久善(たけだ ひさよし)
ストレスクリアルーム
代表カウンセラー・心理療法士
新潟市中央区の「ストレスクリアルーム」で、感情や心の悩みに向き合うカウンセリングを行っています。
これまで2,511件以上の相談に携わり、不安・怒り・悲しみ・人間関係・仕事・恋愛・夫婦・家族・親子関係・トラウマなど、さまざまな悩みと向き合ってきました。
心の学びでは、日常の悩みや生きづらさを軽くするための気づきや本質について分かりやすくお伝えしています。
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