因果応報とは?自分の生き方に返ってくる理由
「因果応報」という言葉を聞くと、
・人を騙した人が、いつか自分も騙される
・人を裏切った人が、今度は裏切られる
・人を傷つけた人には、いつか罰が当たる
そのような意味を
思い浮かべる方が多いかもしれません。
たしかに、因果応報には、
自分が行ったことの結果が自分に返ってくる、
という意味があります。
しかし、因果応報について考えるとき、
私たちが本当に見つめなければならないのは、
他人に対して行ったことだけではありません。
もっと身近で、もっと深く人生に
影響しているものがあります。それは、
自分が、自分自身をどのように扱ってきたか
ということです。
因果応報で本当に見つめたいこと
因果応報で恐ろしいのは、
悪いことをした人に
悪い出来事が返ってくる
ことだけではありません。
自分が自分に対して繰り返してきた扱いが、
少しずつ人間関係や生き方に表れていくことです。
たとえば、本音を押し殺し続けているとします。
「こんなことを言ったら嫌われる」
「私が我慢すれば丸く収まる」
「本当の気持ちは言わない方がいい」
そう考え、自分の本音を何度も否定していると、
次第に自分でも、自分が
何を感じているのか
分からなくなっていきます。
そして、人に対しても
当たり障りのない言葉しか
伝えられなくなるため、
相手からも本音を話してもらいにくく
なることがあります。
これは、目に見えない
何かから罰を受けているのでは
ありません。
自分の本音を大切にしない
生き方が、人との関係の
中にも表れているのです。
自分の価値を認められないと…
自分の価値を認められない人は、
周りからも認めてもらえなくなります。
それは必ずしも
「自分を認めなければ、
周囲が意地悪になる」
という意味ではありません。
自分には価値がない
と思っていると、人から褒められても、
その言葉を素直に受け取れなくなります。
「本心ではないかもしれない」
「たまたまうまくいっただけ」
「自分よりすごい人はいくらでもいる」
そう考えて、せっかく受け取った評価を、
自分で打ち消してしまうのです。
反対に、少し注意されたり、
思うような反応が得られなかったりすると、
「やっぱり自分には価値がない」
という思いだけが強く残ります。
周りがまったく
認めていないのではありません。
自分の中にある
「認められない」という感情が、
認めてもらえない
証拠ばかりを探してしまうのです。
自分を後回しにすると…
・家族のため
・職場のため
・大切な人のため
誰かを思いやり、
自分より相手を優先することは、
決して悪いことではありません。
しかし、いつも自分だけが我慢し、
自分の気持ちや体調を
後回しにしていると、
それが人間関係の中で
当たり前になっていくことがあります。
・無理なお願いをされても断らない
・疲れていても引き受ける
・傷つく言葉を言われても笑って流す
・本当は嫌なのに、嫌だと言わない
そうしたことが続くと、周囲の人は、
「この人なら大丈夫」
「頼めばやってくれる」
「これくらい言っても許してくれる」
と思うようになるかもしれません。
自分を後回しにし続けることで、
自分を後回しにする人間関係を、
知らず知らずのうちに
受け入れてしまうのです。
これもまた、
自分への扱いが現実に
表れている一つの形です。
自分を傷つけ続ける言葉も…
人から言われた言葉には
傷つくのに、自分には
毎日のように厳しい言葉を
投げかけている人がいます。
「どうして、こんなこともできないの」
「本当に自分は駄目だ」
「もっと頑張らなければ価値がない」
「こんな自分では愛されない」
1度だけではなく、
何年も繰り返された言葉は、
少しずつ心の中に根づいていきます。
そして、失敗したときや
不安になったときに、自動的に
自分を責めるようになります。
自分を責めれば
成長できると思っていても、
実際には、失敗を恐れて
行動できなくなったり、
自信を失ったり、
人の顔色ばかりを見るように
なったりすることがあります。
自分に向けた言葉も、
心の中に積み重なります。
だからこそ、
自分に何を言い続けているかは、
とても大切なのです。
他人に罰が当たることを願っても…
自分を傷つけた人に対して、
「いつか同じ苦しみを味わえばいい」
「いつか必ず罰が当たる」
と思うことがあるかもしれません。
深く傷つけられた経験があれば、
そのような怒りが湧くことは不自然ではありません。
無理に許す必要もありません。
相手のしたことを正当化する必要もありません。
しかし、相手に何が起きるかを考え続けても、
自分の傷が癒えるとは限りません。
相手の不幸を待っている間も、
自分の心は、その人との出来事に
縛られ続けます。
他人の因果がどうなるかは、
自分には決められません。
けれど、自分がこれから
自分をどう扱うかは、
今から変えることができます。
大切なのは、相手に
罰が当たるかどうかではありません。
自分が受けた傷を、これ以上、
自分自身で深くしないことです。
因果応報は、積み重ねとして現れる
因果応報という言葉を、
目に見えない罰のように
受け取る必要はありません。
日々の感情、言葉、選択、
行動の積み重ねが、
その後の人生に影響していきます。
そのように考えると、
因果応報は決して
恐ろしいだけのものではありません。
自分を否定することを繰り返せば、
自信を失いやすくなります。
我慢を繰り返せば、
我慢を求められる関係が
続きやすくなります。
嫌われることを恐れて
本音を隠せば、深く分かり合える
関係をつくりにくくなります。
一方で、
・自分の気持ちを大切にする
・疲れたときには休む
・嫌なことを嫌だと認める
・必要なときには断る
・自分の良いところを受け取る
そのような積み重ねも、
少しずつ現実に表れていきます。
自分を大切に扱い始めると、
自分を粗末に扱う関係に
違和感を持てるようになります。
自分の本音を認められると、
本音を話せる人を選びやすくなります。
自分の価値を少しずつ受け取れると、
人からの好意や評価も
受け取りやすくなります。
自分への扱いが変われば、
選ぶ言葉や行動、人間関係も
変わっていくのです。
自分を大切にするとは…ではない
自分を大切にするというと、
「食べたいものを食べる」
「やりたいことをする」
「嫌なことは全部やらない」
という意味に捉えられることがあります。
もちろん、自分の希望を
叶えることも大切です。
しかし、本当に自分を大切にすることは、
その場の欲求をすべて
満たすことだけではありません。
・疲れていることに気づく。
・悲しい気持ちを否定しない。
・苦しい関係から距離を取る。
・必要な治療や相談を受ける。
・将来の自分のために、今できることを選ぶ。
自分を大切にするとは、
自分の気持ちを無視せず、
自分の人生に責任を持って選択することです。
それは、自分を甘やかす
ことではありません。
これ以上、自分が自分を
傷つけないための生き方です。
自分への扱いを変えるためにできること
自分への扱いを変えようとしても、
最初から大きく変わる必要はありません。
まずは、日常の中で自分が
何を感じているかに気づくことから始めます。
嫌なことを「嫌だった」と認める
すぐに断れなくても構いません。
まずは、
「本当は嫌だった」
「少し苦しかった」
「無理をしていた」
と、自分の中で認めることが大切です。
自分の感情を認めることが、
自分を守る最初の一歩になります。
自分を責める言葉に気づく
失敗したときに、
「どうしてできないの」
と責める代わりに、
「うまくいかなくて悔しかったね」
「今できることは何だろう」
と、自分に問いかけてみてください。
責めることと、
改善することは違います。
自分を傷つけなくても、
成長することはできます。
小さな希望を後回しにしない
・食べたいものを選ぶ
・少し休む
・行きたい場所に行く
・会いたい人に連絡する
・一人で静かに過ごす
小さな希望を叶えることは、
自分の気持ちには価値があると、
自分自身に伝える行動になります。
無理な関係には境界線を持つ
すべての人に
理解してもらう必要はありません。
嫌なことを嫌だと伝えることや、
苦しい相手と距離を取ることも、
自分を大切にする行動です。
相手を傷つけるためではなく、
自分を守るために境界線を持つのです。
自分への扱いを変えると…変わり始める
これまで自分を後回しにしてきた人が、
急に自分を大切にしようとしても、
怖さや罪悪感が出てくることがあります。
「わがままだと思われないだろうか」
「嫌われないだろうか」
「自分だけ楽をしてよいのだろうか」
そのような感情が出てくるかもしれません。
それは、長い間続けてきた
生き方を変えようとしているからです。
怖さを感じることは、
間違っている証拠ではありません。
これまでとは違う
選択をしようとしている
証拠でもあります。
自分への扱いを変えたからといって、
翌日からすべての現実が変わるわけではありません。
しかし、自分を丁寧に扱う選択を重ねることで、
人の選び方、関係の築き方、言葉の受け取り方、
行動の仕方が少しずつ変わっていきます。
その変化が、やがて
自分の現実にも表れていきます。
見るべき因果は、自分の中にある
因果応報と聞くと、
私たちはつい、自分を傷つけた人に
どのような結果が返るのかを考えてしまいます。
しかし、本当に見つめたいのは、
他人の未来ではありません。
今、自分が自分自身を
どのように扱っているかです。
本音を無視していないでしょうか?
自分の価値を
否定していないでしょうか?
疲れているのに、
無理を続けていないでしょうか?
嫌なことを、仕方がないと
飲み込んでいないでしょうか?
自分への扱いは、
毎日の選択となり、
人間関係となり、
人生の方向へとつながっていきます。
だからこそ、
今日から少しずつ、
自分に対して丁寧なことを
始めてみてください。
・自分の感情を認める
・自分を責める言葉を減らす
・疲れたら休む
・嫌なことに気づく
・必要なときには助けを求める
自分への扱いを変えた瞬間から、
未来に積み重なっていくものも
変わり始めます。
因果応報とは、誰かに
罰が当たることだけではありません。
自分が自分に向けたものが、
自分の生き方をつくっていくのです。
だからこそ、自分を傷つける
生き方を終わらせ、自分を
大切に扱う生き方を選ぶこと
が大切なのです。